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アンケート2009

アンケート2009

大恐慌のあおりは確実に蓄積されてきているようで、それは各誌のアンケート仕様にも正直に反映されてきた。というわけで、今年の分は一誌に送ったもので代表させる。けっこう頑張ってつくったこともあり、これだけでも間に合うだろうと。

『ミステリが読みたい! 2010年版』
初めての人に薦めたい海外ミステリ、オールタイム・ベスト・アンケート

1Yの悲劇エラリー・クイーン
2赤い収穫ダシール・ハメット
3ブラウン神父の童心G・K・チェスタトン
4火刑法廷ディクスン・カー
5そして誰もいなくなったアガサ・クリスティ
6赤毛のレドメイン家イーデン・フィルポッツ
7さらば愛しき女よレイモンド・チャンドラー
8野獣死すべしニコラス・ブレイク
9幻の女ウィリアム・アイリッシュ
10暗闇のスキャナーP・K・ディック
11殺人症候群リチャード・ニーリイ
12リリアンと悪党どもトニー・ケンリック
13見知らぬ者の墓マーガレット・ミラー
14ウィチャリー家の女ロス・マクドナルド
15見えないグリーンジョン・スラデック
16幽霊の2/3ヘレン・マクロイ
17愛しすぎた男パトリシア・ハイスミス
18おとしまえをつけろジョゼ・ジョヴァンニ
19ショットガンを持つ男  ジェローム・チャーリン
20ドッグ・イート・ドッグエドワード・バンカー
21トリック・ベイビーアイスバーグ・スリム
22さらば甘きくちづけジェイムズ・クラムリー
23クワイヤボーイズジョゼフ・ウォンボー
24暗殺者ロバート・ラドラム
25極大射程スティーヴン・ハンター
26シブミトレヴェニアン
27料理人ハリー・クレッシング
28夜の終りジョン・D・マクドナルド
29歯と爪ビル・バリンジャー
30内なる殺人者ジム・トムプソン
31スターベル事件F・W・クロフツ

『ミステリが読みたい! 2010年版』年間ベスト・アンケート

1造花の蜜 連城三紀彦幽霊の2/3  ヘレン・マクロイ
2新参者  東野圭吾グローバリズム出づる処の殺人者より
アラヴィンド・アディガ
3絶望ノート  歌野晶午トリック・ベイビー  アイスバーグ・スリム
4数学的帰納の殺人 草上仁光の帝国   キム・ヨンハ
5古井戸の骸骨  塩見鮮一郎ミレニアム  スティーグ・ラーソン
6函館水上警察  高城高十の罪業  エド・マクベイン編
7暴雪圏  佐々木譲オッド・トーマスの霊感  ディーン・クーンツ
8まず石を投げよ  久坂部羊ユダヤ警官同盟  マイケル・シェイボン
9煙霞  黒川博行ルルージュ事件  エミール・ガボリオ
10感染列島  吉村達也ロリ・マドンナ戦争  スー・グラフトン
11TOKYO BLACKOUT 福田和代検死審問ふたたび  パーシヴァル・ワイルド
12アマルフィ  真保裕一グラーグ57  トム・ロブ・スミス
13同期  今野敏最高処刑責任者  ジョゼフ・フィンダー
14アウト&アウト 木内一裕サラマンダーは炎のなかに  ジョン・ル・カレ
15センチュリー・オブ・ザ・ダムド 戸梶圭太ポジオリ教授の冒険  T・S・ストリブリング
16草祭  恒川光太郎ファイアファイト偽装作戦  クリス・ライアン
17鬼の跫音  道尾秀介黒衣の処刑人  トム・ケイン
18 モダンタイムス  伊坂幸太郎      ルシアナ・Bの緩慢な死 ギジェルモ・マルティネス
19 プラ・バロック  結城充考         謀略法廷  ジョン・グリシャム
20 殺人者  深谷忠記             最後の証人  金聖鐘 キム・ソンジョン

SFマガジン 海外ベスト
① ベンジャミン・バトン
② TAP
③ オッド・トーマスの霊感
④ ユダヤ警官同盟
⑤ レポメン
 映画化の恩恵をもってスコット・フィッツジェラルドの幻の一篇を読みえたことが本年の第一。
 若返りはスコットの一種のオブセッションだった。それ故の寓話だとしても面白すぎる。クラック・アップの後ではなく、ジャズ・エイジの初頭、彼の最盛の絶頂期の作品だったことが、とりわけ印象深い。SFの話題からは外れるが、こうなれば、『パット・ホビー・ストーリー』の翻訳もどかこから出ないものか、と思ったり。そういえば、トッド・ブラウニング『フリークス』撮影秘話にも、フィッツジェラルドの名はあがっていた。異貌の芸人たちの姿にショックを受けたという話だから、あまり名誉にはならないけれど。
国内ベスト
① アナザー
② 虚構機関
 綾辻の『アナザー』は、アメナーバルの『アザーズ』をどう変奏してくれるか、期待はむしろささやかだったが、それが控え目にすぎたことをじわじわと知らされていく。少年少女の話を大の大人に向かって書くのは難しいし、ましてや大冊をすいすいと読ませてしまうのは奇蹟のごとき超能力のたまものかと、感服。
 他にも目に止まった何点かはあれど、ランキングとなると、強く推すほどの熱気はすでに失せているのが遺憾である。

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