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更新日記2002.08.28

更新日記2002.08.28

夜中の虫の声がセミから鈴虫やキリギリスに切り替わってきてしばらく経つ。
昆虫たちが一歩先んじてプレリュードを奏でるなか、そろそろ季節の移り目になっていくのだ。


今年はセミの鳴き声がとりわけかまびすしかった。それも真夜中になってはじめる大合唱だ。オーケストラではなく、一種目のみの競演だからひたすら単調で、倍音が倍々音になりまた倍々々音になるという、ただただ騒音に近づくだけのミッドナイト・ジャムセッションなのだ。寝つく前に、頭のなかに、製材所で丸太を引く電気ノコギリさながらの轟音が沈んでくることになる。
セミが大量発生したという話は聞かないが、うちのあたりでは異常に襲来してきたように感じた。セミのライフサイクルは木の上でミンミンやるところで、いわば頂点に達する。あとは燃えつきていくわけだが、弱りつつある肉体でうちのベランダに軟着陸しはじめるらしい。そこで、うちの猫たちと丑三つ時の決闘を演じるのらしい。らしいを連発するのは、いちいち観察する労をさいているわけではないから推測が入っている次第。猫はこのやかましい生き物を前足の一尖でノックアウトして口にくわえると、必ず階下まで降りてくる。そして下の部屋で瀕死のセミを相手に決闘の第三ラウンドを披露することになる。決闘といっても、元気なのは鳴き声だけの相手をアイスホッケーのボールのように叩きまわして遊ぶ一方的なものだ。猫としては主人に戦利品を見せて自慢したいのである。これがたいてい明け方のこと。猫としては主人の睡眠のリズムなどにはかまってられないのだろう。こっちは寝不足もいいところになる。朝、起きるとセミの亡骸が部屋のスミに二つ、三つは必ずころがっている。
2002年の夏はこんなふうに過ぎていったと記憶しよう。

新規ページは進行形の一章。
セミナーページの一月十二日分が送られてきた。頼んでいたhaさんが入院などの事情で遅れたという由。体調の本復を祈ります。

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