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更新日記2005.02.15

更新日記2005.02.15

2005年02月15日  『グランド・フィナーレ』はタイトル倒れか
阿部和重の『グランド・フィナーレ』はタイトル倒れじゃないのって?
わかってないな、きみ。
昨年大晦日の総合格闘技大会だって、曙vsグレイシー戦たったの二分十秒がメインエベントだったもんな。世の中、これでいいのだ。
「女児誘拐事件を予見したのか」に釣られて買って損したって?
ますますわかってないね。ポイントは「予見した」ではなくて「……のか」にあるのはミエミエだろ。東スポ、読んだことないの。「……のか」が主役であり、本体であり、この印籠が目に入らぬのかァァァァァのメーンエンベンターであり、……の部分は限りなく透明に近い修辞にすぎんのである。
題材の選び方は相変わらず商売第一の不定見、構成は乱雑、主人公の暗部への踏みこみは甘く、まわりの人物は便宜的なデクノボー、おまけに着地点も不明瞭ときてる。求められたのは癒しか償いか。――ま、そおゆうことは決定不可能性の彼方だよってサ。
この中篇は『シンセミア』神町サガの外伝または拾遺かのサブストーリーとして、作者のなかでは正当化されているんだろう。だぁから、上に並べた数かずの欠落点も(かなり決定的なところもあるけれど)一作単体として例外的に許される、ンだろうね。
野暮は言いっこなし。
見よ、連戦連敗をものともせずビッグイベントのグランド・フィナーレを飾りつづける「格闘家」曙太郎の心意気を!

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