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更新日記2004.03.15

更新日記2004.03.15

久しぶりにウイルス・メールの襲撃を受けた。
同じ日の夕方には、電話による引っかけ詐欺が来襲してきた。災難の一日分としては超過ぎみだ。
ソレはごくふつうの連絡事項みたいな口調でやってきた。うちの年寄りにかけた用件の引き継ぎだ。母親は耳が遠いので、複雑な事柄がこちらに回されてくる。これだけなら、よくあるケースだ。
ソレのソイツは資金管理課だと名乗った。
聞いていると、どうも話の向きがおかしい。母親の番号を告げ(これは正確)、何かの契約が結ばれていると言う。NTTの受信記録をたてにとっている。受信の日時もはっきりと告げる。もし不審があれば、調べ直してくれというわけ。
どうもおかしい。資金ナントカ課だと名乗るから、市役所かと早合点して、「年寄りのことでいつもお世話になってます」と言いかけた。言わなくてよかった。ふつうは所属を言ってから、次に課名を名乗るものだ。こっちが聞き落としたのか。
「ど、どこの管理課ですって」
「資金管理課です」
「だから、どこの資金管理課なのか訊いてんだよ」だんだん言葉が荒くなる。
すると、ソイツはやっと正式な(?)社名を名乗った。
――ロリロリ学園、エッチ大好き、出会いの広場です。
ハァ?
二度、聞き直したね。二度目は吹き出すのをこらえた。
人生は長い。世の中にはどんどんファンタスティックな、自分には理解できない事象が増えている。
ようやく用件の筋道が見えてきて、しばらく押し問答した。まだやはり話がよくのみこめないところがある。
「なんかの間違いでしょ」
「いえ、間違いありません」
「そんなわけないよ」
「NTTに記録が残ってます」
へえ、そうかい。いくらうちの母親が変人でも、八十を過ぎた老婆だ。ロリコン・マニアの出会い系サイトにアクセスする好奇心は……。いくらなんでも、やらないよな。
別に心配したわけではないが。
考えられないね、と言うと、相手は、おばあさんの番号を使ってだれか若い人が掛けたのだろうと、ツッコミを入れてくる。そう言われれば、その線もアリか と考える。(ここで変に反論すると、相手が一人暮らしの老人狙いの悪徳商法だったりした場合、藪蛇になる可能性あり。余計な情報を洩らさないように要注意 だ)。プライバシーもあるので、詳しくは書かないが、相手が言ったようなことは起こりそうもない。
ソイツは契約が成立しているという前提で押してくる。
「NTTの受信記録がどうだっての」
「受信記録は立派な証拠になります」初めて脅しに近い言い方をしてきた。
「何の証拠だよ。アホなこと言うな」
「疑うなら、NTTに問い合わせて調べてください」
「そんな面倒なことできるかよ」
「調べて納得がいったら掛け直してください。うちの番号を言いますから」
「なんであんたの番号を控えなきゃなんないんだよ。アホじゃねえか、おまえ」
「あ、そうですか。じゃ結構です」
相手はあっさり引いた。
結果的には、突っぱねた恰好になって、この件はこれで済んだ。
と思いきや、それから一時間ほどのあいだに十本ほどの電話が掛かりまくってきた。こちらの精神状態は、執筆の流れが悪いところにおかしな邪魔が入ったせ いで最悪に近かった。またロリコン野郎が第二次の攻勢を挑んできたかと思ってうんざりした。年寄りを狙った電話詐欺の新手かと思ったりして、心配が膨れ上 がっていく。どれにも出なかった。けれどすべて別口だったらしい。後で留守電を聞いてみると、応答したほうが良かった用件も混じっていて恐縮した。偶然に しろ、ずいぶんと集中したもんだと呆れる。
その日の運勢は上向きと出ていたのに、心外だった。
執筆予定量のはるか手前でペースダウン。自宅作業で一冊書き上げてしまわなければいけない日程が迫っているのに、手痛い災難であった。
そんなわけで、さっそく法律相談に助言を求めた。そして以下のアドバイスをもらった。
その手の電話には取り合わないこと。とりわけ掛け直しは禁物。こちらから掛け直させることが狙いなのだ。相手はそこに付け入ってくる。掛け直しは弱みを見せたことになる。最初の電話は偵察みたいなもの。番号は無作為に選ばれたはずだから、その点は心配しなくていい、と。
いきなり電話がきて、某アダルト・サイトと契約が成立していると告げられたら驚く。そのうち何パーセントかの人は、身におぼえがあるかもしれない。その小さな確率を狙った「商法」なのだという話。
似たような被害にあっている人には、ご参考までに。

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