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永島慎二 追悼

永島慎二 追悼

 永島慎二が死んだ。
 67歳。
 残っているのは『ガロ』の増刊だけ。
 表紙の画像はすでにこのサイトにアップしている。
 いま読み返すと、枯れ果てているな、という印象しかない。
 当時から、すでに一種の叙情職人とみなしていたようだ。  (2005年の日誌)

 1968.6増刊
 この号には、書き下ろしの「ねじ式」
が巻頭に載った。
 まさに事件というに値する得体の知れない衝撃を残した。「激動の七ヶ月」はいたるところ、さまざまな領域に伝播していったのだった。
 60年代なかばの『ガロ』は、ただ漫然と高校生のわたしの月ぎめのカスタムだった。理由としては白土三平の『カムイ伝』を読むことだけだった。この雑誌は『カムイ伝』を連載するための媒体だと理解していたわけだ。他には、
水木しげる の『墓場の鬼太郎』があった。残りのページを見ることはほとんどなかった。『カムイ伝』目当ての回し読みの順番待ちだったから、そんな暇はなかったのだ。
 そのうち、白土、水木以外の第三の男が気になるようになってきた。
 それがつげ義春だった。
 1968.9増刊
 「異色」という語感はすでにして当時から一つのブランド志向でもあったわけだ。
 内容的には、まあ、玉石混交の本。

 メンバーは、永島慎二、滝田ゆう、池上遼一、佐々木マキ、林静一、ふじ沢光男、高橋わたる、聖一郎、山本いくお、田代為寛、勝又進、日野日出志。懐かしい名前もあれば、すでに忘却の底に沈んでしまった名前もあり、栄光に輝く名前もあり……。
1971.4増刊
 雑誌増刊の版型では他に、滝田ゆう、勝又進、池上遼一、楠勝平、つりたくにこ、辰巳ヨシヒロの特集号があった。
 別に青林堂からは、B5判箱入り上製の『現代漫画の発見』シリーズが出ていた。こちらのほうは、残念ながら、記憶も現物も残っていない。
 1969.7増刊
 永島慎二はガロ系というより、COM系の書き手だったのだろう。
 思い出せば、ここに収められた作品よりも、
『漫画家残酷物語』のほうに親しんでいた。こちらのほうはナマではなく、単行本にまとまったものだった。そのせいか、すでに「過去の人」のようなイメージがつきまとっていた気がする。
 1970.2増刊
 林静一は『赤色エレジー』のほうが有名だ。A5判の上製本がある。保存はしていない。

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