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明日死能

明日死能

comic 70’s

『忘八武士道』1972年5月。小池一雄原作の劇画がいたるところに咲き誇っていた。
 『漫画アクション』の『子連れ狼』をメインの本紀とすれば、『葬流者』『忘八武士道』とが、異色の列伝となるだろう。明日死能という主人公は当時のセンチメンタリズムにぴったりだった。映画化版にはどうもイメージが合わなかった。 


 藤純子は引退してすでになく、ポスト藤の位置を期待された梶芽衣子は『銀蝶渡り鳥』や『修羅雪姫』の路線より『女囚さそり』シリーズで当たってしまった。梶芽衣子の最高の時は日活時代の『野良猫ロック』シリーズだったんだが。
 世の中は藤純子の二番煎じよりも、『仁義なき戦い』の実録路線へと旋回していく。東映やくざ映画の変節……。そんなわけで劇画の世界に「藤純子」が転生してきた。基調は女渡世人でも、『満洲お菊』は娼婦ものだ。泥臭さと初期日活ロマンポルノ風の不安定なゆらぎと。俗悪さをこよなく愛した遥かなる日々。

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