更新日記2012.12.01
さらに過激な議論もあり、その意図は広義に取替地の観念を解釈する企てで、それを普遍的、根源的なレベルまで推し進めるものである。この理論によれば、地図上のすべての場所は取替地であり(every place on a map is a displace)、どんな場所もかつてはそれ自身ではなかったし、永遠に別の場所に取り替えられるのである。言うなれば地図自体ある種の取り替えであり、地図作製とは一種の取り替えの過程なのである。たとえどんな目的論あるいは実用論をもって理解しようとも、どんなに多くの科学と精確な方法でもって作製しようとも、地図はこれまで実存世界の模擬であったことはなく、実存世界の取替品であったのだ。しかも取り替え過程の最後にはいわゆる実存世界を必ずや徹底的に取り替えてしまい、しかもそれを人の認知空間の中で完全に消滅させてしまうだろう。
『地図集』Atlas 理論篇より 菫啓章 Dung KaiCheung 藤井省三、中島京子訳
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