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ランキング2018

ランキング2018

ミステリマガジン2018.1 

海外ベスト
① 主の変容病院・挑発 スタニスワフ・レム 国書刊行会
② 地下道の鳩 ジョン・ル・カレ
③ シンパサイザー ヴィエト・タン・ウェン
④ 黙約 ドナ・タート
⑤ 海岸の女たち トーヴェ・アルステルダール
⑥ 晩夏の墜落 ノア・ホーリー

 思えば、レム・コレクションも完結までずいぶん時間が経ったものだ。ともかく『変態(メタモルフォーセズ)病院』じゃなく『主の変容病院』を読みえたことに感謝。
 ホロコースト前夜の占領ポーランドに展開するドグラマグラ世界。レムにすれば、かなり甘ったるいタッチだが、これをベストに推すのに、説明は不要だろう。
 ル・カレは、ますますエンターテイナーだ。序文の第一行から堂々とウソ(それも見えすいた大ウソ)をかましてくれる。
 こういう大御所に較べると、『シンパサイザー』の語り口は、やはりスパイ小説の「新人」らしい愚直さにみえる。スパイの告白を相手が信じるという前提で書かれたスタイルなので、ところどころ奥行きに欠ける。とはいえ、初めて「真実のヴェトナム戦争が語られた」と感じさせる力量。少しばかりの難点は気にかからない。

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