ランキングの時代に突入
特殊ジャンルのローカルな風景に限定した話だが、曲がり角は、2007年あたりに来ていた。もちろん翌年の「大恐慌」前後の政治状況とは、あまり関係してこない。
ミステリマガジンの年度回顧では「今年の三冊」欄を、もっぱら気ままに埋めていた。その余裕が消え、雑誌は『ミステリが読みたい!』別冊として独立し、ランキング集計方式の路線となった。こちらも、真面目にジャンル限定の順位表のフォーマットに応えていった。このかたちが数年つづく。
別冊形式は、あとにミステリマガジン本誌(各年度の一月号)に合流するが、集計方式は、ますます固定化していく。かつての気ままな年度回顧のかたちは20年くらい続いたが、数字集計はさらに更新されていくのだろうか。
とはいえ、雑誌ミステリマガジンは、隔月刊となり、来年からは、季刊に縮小していく。
記録を残しておこうと思いたったのは、感傷からではなく、少しはなにかの「展望」がひらけてくるかな、といったそこはかとない気分から。
出典は『ミステリが読みたい!』2011年版から。
順位表のみで、コメント欄はなかったと思う。
2010年度ベスト
『森の惨劇』ジャック・ケッチャム
『レポメン』エリック・ガルシア
『スペード&アーチャー探偵事務所』ジョー・ゴアズ
『LIMIT』フランク・シェッツィング
『ファージング三部作』ジョー・ウォルトン
『ラスト・チャイルド』ジョン・ハート
『ツーリスト』オレン・スタンハイマー
『ポーカーはやめられない』オットー・ペンズラー編
『死者の名を読み上げよ』イアン・ランキン
『ポーに捧げる20の物語』スチュアート・M・カミンスキー編
00年代ベスト
①『血と暴力の国』コーマック・マッカーシー
②『ブラック・デトロイト』ドナルド・ゴインズ
③『トリック・ベイビー 罠』アイスバーグ・スリム
④『光州の五月』宋基淑
⑤『フリーダムランド』リチャード・プライス
⑥『ユダヤ警官同盟』マイケル・シェイボン
⑦『ワイオミングの惨劇』トレヴェニアン
⑧『ミレニアム』スティーグ・ラーソン
⑨『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー
⑩『ブラッディ・マーダー』ジュリアン・シモンズ
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