更新日記2013.03.31
ツァーリの専制を完全に破壊し、民主的体制を導入した一九一七年二月の第一革命から一〇月の第二革命の狭間で書かれたレーニンの全文書ほど彼の偉大さを示すものはない。例えば、彼のテクスト「遠方からの手紙」は一回限りの革命的好機についてのレーニンの当初の把握をあますところなく物語っているが、当該期最後のテクスト「『ペトログラード労働者・兵士代表ソヴィエトの会議』についての覚書」は、ボルシェヴィキによる権力掌握を宣言している。「独創的な革命戦略家レーニン」から(国家装置の即自撤廃という)「実演されたユートピアのレーニン」に到るまで、ここにはすべてがある。ふたたびキルケゴールに倣って言えば、これらの文書からわれわれが感じ取ることができるのは、生成‐にある‐レーニン Lenin-in-becoming に他ならない。それを、いまだ「ソヴィエトという制度のレーニン」には到らない、開かれた可能性という状況に投げ入れられているレーニン、と言い換えることもできるだろう。「歴史の終焉」といった後期資本主義に閉ざされているわれわれは、そうした〈真正なる歴史的開け〉がもたらす身が砕かれるような衝撃を、依然として今日も経験することができるだろうか?
『迫り来る革命 レーニンを繰り返す』スラヴォイ・ジジェク 2002 長原豊訳
Share this content:
コメントを送信