更新日記2014.06.04 地球のうえをVISAもなく。
地球のうえをVISAもなく。V.セルジュ覚書のうち。
生まれ育ったのは、ベルギー。両親は亡命ロシア人だった。
出自はまったくの下層プロレタリアートだった。
だが、故国である革命ロシアが彼に与えたのは、トロツキスト、アナキストという悪罵と、投獄だった。
彼はメキシコの地で死んだ。擦り切れて底に穴のあいた靴が「永久革命者=永久亡命者」の勲章だった。地球のうえをVISAもなく。
フランス語で作品を書いた。
遺された彼の作品、未訳のタイトルしか確認できないものについては、想像するしかない。たぶん、フランスのレジスタンス小説に近いものもあるのではないか。
行動の文学。その底にある虚無の深淵。サルトルがドス・パソスについていったような深層がセルジュの作品にはある。これは、短絡すると、安手のニヒリズムに「翻訳」されてしまうから要注意。
彼は、ジャーナリストであり、従軍記者であり、詩人であり、歴史家であり、小説家であり……、それら一切だった。そして「革命の大義」に属していた。
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