更新日記2006.10.04 SNSから
インターネットラジオはヤバいぞ 00さらば無音
無料ゆえの珍妙な怪談はまだつづくが、ここらで一段落して。インターネットラジオ環境を定着させるまでの涙と冷や汗のお噺を。
ちなみに、こないだはリッキィ・ネルソンの『ライフルと愛馬』が流れてきたので、それこそ仰天してしまった。同曲はカントリーの定番だが、元はディーン・マーティンのもの。映画『リオ・ブラボー』でネルソンとマーティンがデュエットしている。レコード盤で聴いたことのあるのは、マーティンのソロのみ。当たり前だが、これは微妙に決定的に違うヴァージョン。この映画は十回以上観たもんだ。間違いなくハワード・ホークス映画で最高に素晴らしいシーンだが、このデュエット・ヴァージョンを聴く音源はレコード化されていないと思いこんでいた。それがネットラジオから流れてきたんである。アルバムはネルソンの『レガシー』。ネルソンは60年代前半に活躍したアイドル系ポップ・シンガーだった。このジャンルの人はなぜかみんな身長が160センチくらいしかなかったが、ネルソンだけは180センチ。19歳で出演したのが『リオ・ブラボー』だった。飛行機事故かなにかで若くして死んだけれど、人気のピークが過ぎていたので、惜しくも伝説になりそこねた。ベストCDは持っていたけれど、驚いたね、映画版テイクの『ライフルと愛馬』がアルバムに収録されているなんて。
ま、それはともかく。
だいたい音がなければ仕事もできない習慣だったのが、いつの頃からかすっかり無音状態におちいっていた。無音とはすなわち、容赦ない雑音にさらされているということ。
これではいけないとずっと思っていた。要するに、無音状態におちいったのは、何かを積極的に聴く気にならない精神状況がいつしか習慣化してしまった結果なので、そこに高尚な理由は何もない。けれどこれが習慣になるとなかなか脱け出せないわけ。無音には何ら依存性はなく、ただ怠惰なだけだ。しかし脱けられないというのは自分で意識する以上にキケンなんだな。何か聴こうとするとCDを選ばねばならず、特に選びたいものが思いつかないと、今日は止めておこうかになる。無理して選んでも「音が邪魔になる」ので困る。朝、バッハを聴くとすがすがしい時もあるけれど、その次は何にしようかと自然の流れが出てこない。コルトレーンでロリンズで、とか先走って組み立てていくと、何か選曲のために頭を使いすぎ状態になって、肝心の仕事がおろそかになりかねない。家にあるのは聞き飽きたものばかり、買うのもレンタルするのも開拓精神は磨耗する一方。そういう億劫さが堆積して、じょじょに、そして後戻りのきかないような具合に、無音になった。
これはツライです。年齢からくる衰えなのか、あるいはもっとドラスティックにいよいよお迎えが近い兆しなのか。考えると鬱陶しいから気にしないことにしてはいたが、まあ、状況はちっとも好転しなかったわけで。
起死回生(?)の一発がネットラジオ。
最終的には音質の問題があるけれど、どうせマシーンは2007年問題に合わせて買い替えの予定だから。
ああ来た来た。スリー・ドッグ・ナイトの『ジャスト・アン・オールド・ファッションド・ラヴソング』。これも長いこと記憶の片隅にねむっていた歌だ。
「SNSから」となっているのは、Mixi のことで。
始めたきっかけは、教えていたゼミの学生に諭されたから。
「先生もSNSくらいやらないと、世の中に遅れるよ」あるいは「一人前になれないよ」などと。
その結実が、6点ほど記事に残っていたのである。
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