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更新日誌2009.04.01

更新日誌2009.04.01

 某日。小鷹信光『私のペイパーバック』出版を祝う会に行ってきた。
 とにかく贅沢な豪華本である。
 著者がいちばん出したかった本ではないかと思う。

 会場には、何冊かのレア本(?)も飾られ、小鷹さんは「持って帰ってもいいよ」と太っ腹なところをみせていたような。
 お言葉に甘えてというのか、「コレ、お土産にください」と二冊もいただいてきた。なかば強奪みたいに。
 二冊とも、ジョン・D・マクドナルドのトラヴィス・マッギーもの。未訳である。もう一冊あったのだけど、それは滝本誠の手に。わたしと滝本さんとが、ドートマンダーと相棒ケルプよろしく「ちょうだい、ちょうだい」と言ったんだから、断われませんよね。
 一冊は、The Lonely Silver Rain  85年作だから、未訳とすぐわかる。
 困ったのは、A Deadly Shade of Gold  65年作、こんな作品あったかな。
 『私のペイパーバック』51p の右下を見ると、「#5『琥珀色の死』(1965)」として「A Deadly Shade of Gold」の表紙図版がある(わたしの貰った本とは異なる図柄)。そして、そのすぐ上に「#7 未訳(1966)」として「Darker than Amber」の表紙図版が。
 んっ?

 困ったな。
 ポケミスのマッギー・シリーズなら全部持っている。他文庫のものだって。ついでにジョン・Dの翻訳された本なら、ほとんどすべて、持っているはずなのだ。
 『北米探偵小説論』には、特別にジョン・Dにさいた一章があって、彼はロス・マクドナルドよりもずっと偉い、と書いてある。しかし。こと志しに反して、ジョン・Dのために当てた記述はあまり大したことなく、比べて「ロス・マク論」のほうが格段に密度が濃い。残念ながら。
 そんなことはどうだっていいが、マッギー・シリーズはどれもタイトルにカラーがつく。内容はいちいち憶えていられないので、気に入ったタイトル優先でメモリー・ストックができている。ベストは文句なしに第一作の『濃紺のさよなら The Deep Blue Good-bye』だな。で、第二位が『琥珀色の死 Darker than Amber』だったわけで。そもそも『Darker than Amber』が未訳だったら、こういうことにはならないのだ。
 おかしい。タイトルと原題が一致しない。
 『琥珀色の死』と『A Deadly Shade of Gold』をつきあわせてみた。
 ゲッ。別の本だ。
 不安になって、森英俊編の『世界ミステリ作家事典』の594pをひらく。「#40 A Deadly Shade of Gold 『琥珀色の死』」とある。ついでに、訳者名も間違っている。「#42 Darker than Amber」には記載がない。つまり、未訳あつかいだ。
 うーむ。元凶はこれであったか。
 ……いやいや、こんなふうに辿っていくとキリがない。
 せっかくの「いただきもの」から、とんだ重箱の隅ホジリをやってしまった。
 小鷹さん、ごめんなさい。

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