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更新日誌2008.12.01

更新日誌2008.12.01

 某社から送付いただいた書評用新刊、とくに固有名詞は秘す、に上下サカサマ本があった。
 ページをひらくと、活字の天地が逆さなので焦らされる。カバーおよび表紙と中味が逆に製本されている。紐栞も底部から伸びてくるわけで、読んでいるときの感触が、何やら無気味なのだ。落丁を心配したけれど、その点は、支障なかった。
 考えてみれば、滅多に当らない珍本のたぐいなり。内容はとにかくとして、末永く手元に所持しておくべき値打ちがありそう?
 これが某本格ミステリ作家の新作ならば、トリックの新趣向かと目を剥くところだな。
 以前、やはり書評用新刊で、カバーと中味が別、というのもあった。文庫の上下本だが、㊦のほうがカバーのみ㊦で中味は㊤。㊤が二冊だったのだ。追われて㊤を読み終わり、㊦にかかったところ、同じ中味だったから、このときも驚き焦った次第。版元さんに電話して、送っていただいた。
 ずいぶん昔のことになるが、さるミステリ本で、解決部分に乱丁のあるものに当ったことがある。最終の一折り部分(16ページ)がダブって製本されていた。そこに読みいたるまでは気づかない。続きの見当がだいたいついても、これは気になるものだ。本屋に行って交換を頼むと――。取り寄せで二週間はかかると、絶望的なことを宣告された。それだけ空けば、間違いなく、読んだ部分のことは忘れているはずだ。仕方なく、他の本と交換してもらった。タイトルも作者名も失念。

 服部之總の『親鸞ノート』に感銘した。歴史学者の手になるものだが、これは、戦後文学の隠れた名作ではないか。

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