更新日記2007.05.01 亂歩ではない乱歩なんて
ミステリマガジン連載の『夜の放浪者たち They Ramble by Night』第一部が、ぼちぼち終わりにかかる。谷譲次までさしかかっていたので、ちょうどいい仕切り直しになる見こみ。
さて、第二部のオープニングは、どうするか。
これは考えるまでもなく、乱歩だ。
書きながら構成を再考するのはいつものことだが、乱歩を避けて迂回路を取るという当初の方針がどうも得策でなかったと気づきはじめていた。連載で、へんに後戻りなどするのも不細工だし、はて、どうしたものやら、と思案していたところ。いいタイミングとなりそうだ。
乱歩に関しては、ぐずぐずと何回も読んでいるけれど、もう一つ礼節を返せていない。ここは腰を据えてと……。と、まあ、それほど大げさなものではないが。
乱歩のペンネームは最初、藍峯であったそうな。
山羊髭の漢学者みたいだから止めたと自分で書いている。亂歩にしたのは、見た目の字面からだという。なるほど旧漢字の「亂」は、とくにその左側は、官能 を刺激しないでもない。けれど新字の「乱」には、こういうスケベなオーラがないよな。そういえば、わたしも旧漢字の「亂」が好きだったので、それが嵩じ て、ほとんどの旧漢字を書けるように練習を積んだこともあった。文学を文學と書いて粋がっていたりしたが、無用の長物であった。
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