更新日記2004.09.30
まったく期待もしていなかったときにまったく新しくて最高にすばらしい歌がラジオから飛び出してくるのを耳にするのって、いったいどんな気持ちだったんだろう。ニック・ホーンビィ『ソングブック』75P
起こったのはまさにこういうことだった。
とにかく最初はびっくりした。他に言いようがない。
深夜放送のラジオは「神」だった。気のきいた言い方を思いつかない。
一九六六年、十九歳か二十歳で、「ライク・ア・ローリング・ストーン」を聞けたらどんな感じだっただろう。
正確にいえば、1965年の秋だったような気がする。もっと正確にいえば、先に聴いたのは、ディランのオリジナルの「風に吹かれて」だった。PPMのきれいなハーモニーで聞き慣れていた反戦フォークの名曲が、とんでもないダミ声の調子っぱずれの歌で聞こえてきたんだから。
びっくりするなというほうが無理だった。これは「全世界」的に起こっている出来事だった。
バリー・マクガイアのヴェトナム反戦歌「イヴ・オブ・ディストラクション」でもけっこう驚きのまとだった。それ以上、というか、比較の対象にならないような衝撃。
著者はわたしより十年若いから、これは素朴な羨望としていっているんだろう。
個人的な体験の引き出しをかきまわしても忌まわしいものしか出てこないとしたら――。個人を超えた体験のインデックスがこのように残っていることを知るのは救いだ。
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