更新日記2003.02.16
某日。
文芸家協会主催のシンポジウム「書籍流通の理想をめざして」を傍聴してきた。
第一部が「ホンコロ」の佐野真一の基調講演。
第二部がパネラーによるディスカッション。書店、取次、版元、公取委からは当然として、図書館、新古書店からも参加があった。議題は多岐にわたって、まとめるのは不可能というところ。新聞報道もあったから、ここで紹介するまでもないだろう。こういう情勢だと「悪玉を探せ」的な議論が通りやすいのは仕方ないにしても、図書館悪玉論がけっこうはびこっているらしい。知らなかった。まあ、ブックオフをめぐる論争は面白かったけれど。
また某日。
都内某所でイスラエル映画『ブロークン・ウィング』を観てきた。なかなか雄弁な作品だった。ハイファやテルアビヴの街路や夜の情景が印象に残る。『グローイング・アップ』シリーズを除くとほとんど初めて観るイスラエル映画だ。イスラエル映画祭は何度かあったが、足を運んでいない。地中海映画祭のときも、イスラエル作品の参加はなかった。
とても試写会場とは思えないホールで上映。終わってからイスラエル・ワインをいただいて帰ってきた。
また某日。
栗本慎一郎の『脳にマラカスの雨が降る』を読んだ。この人の本では、いちばん感心した次第。脳梗塞で倒れたときのたんたんとしたドキュメントの文体が素晴らしい。脳梗塞とは、こんなにもゆっくりと襲ってくるものか。そして迎え撃つ個人がこんなにも明晰に状況を見つめていられるものなのか。なんというか、こちらが脳梗塞という病気に無知なだけなのかもしれないが、面白い本だった。
自分の脳に起こったこと、これから起こるかもしれないことが、どうしても気になるので「脳本」を探すのだが、あまり当たりはよくない。いい加減なリサーチしかしていないからだろうが。
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