更新日記2002.07.22
ホームページの容量が二倍になるので、ファイルを移動する作業にかかった。10MBになって、あとはオプションで50MBまで増やせる。ページの基本的な構造を再考できるかもしれない。とはいえ、旧サービスから新サービスへの移行で四苦八苦している毎日だ。更新にも時間差が生じるかもしれない。ページミルから新サービスへの転送はできねえときた。するとページミルはこれから、ページつくりにしか役にたたんということになる。ftpソフトお試しで使ってみたが、これがものすごい不安定で、こちらの神経まで不安にする。まだまだコンピュータとはお友達になれそうもないのだな。
「ミステリの書き方」ハウツー本の改定書き下ろし版に少し時間を取られていた。書くのに苦労はしないが、自分がどうしてこんな仕事をしているのかといった反省癖が頭をもたげてきて困った。[創作-評論-講師]の三足のわらじを履いているわたしは何者なのかという……。怪物なのか、それとも一種のできそこないなのか。筆が止まるといつのまにかそんなことを考えている。創作は白紙に向かい合う、評論は相手次第でどんなふうにも出来あがる(相手本位にするか、自分本位にするかのちがいだけ)、講師もまた結局は相手があってこそ成り立つ仕事だ。独演をしてもしかたがない。書きたい欲求を無理に他人に植えつけることなんかできないのだ。
少し前までは何でもかんでも与えられるものは受け入れるという人生だった。病気を境にしてそれが変わりつつあるようだ。病気以前から、すでにそうなっていたのかもしれない。心境の変化とかそんなことではなく、具体的に身のまわりで起こっていることがそちらに向いている。護りに入ったほうがいいというのか、さまざまのことを遮断しなければ日々を過ごせないような想いだ。
『安吾探偵控』は、このところ進んでいる。ひかえめにみても折り返しを済んだか。エンディングの試案がいくつかあるので、どちらにするかは頭で考えないように努めている。グラディス・ミッチェルの『ソルトマーシュの殺人』を読みだしたら、妙に面白かった。クリスティという大輪のひまわりに隠れてしまったような作家。少なくとも日本語の紹介に関してはそうで、邦訳は二冊目にすぎない。定型を外すまいと書きこんでいるのもわかるが、脱線のアクの強さがいちいち印象に残る作風だ。ミス・マープルより十倍は嫌味なトリガラのような老嬢探偵のキャラクターはおよそだれにも好かれないと思わせる。大衆受けとはおのずと別の道を行ったのだろう。他人のものだとアラは目に付くけれど、自分の書き方も似たようなものだと感じたりした。だから作風そのものは嫌いにはなれない。
『安吾探偵控』の設定は、去年の夏に頭に浮かんできたもの。他にもガラクタがばらばらと脳のなかを飛び回っていた。同じ暑い夏がめぐってくると、そうしたことがもうずいぶんと昔のことだったように思えてしまう。たいていのアイデアは宙空に飛びかったまま回収できなかった。中断はいろいろ長かったけれど、これはそろそろ仕上げにかからないといけない。不思議なことに書いていくうちに構想が肥大してくる。三部作を考えていたところが、つい最近、プラス・アルファが二つ加わった。番外編二つ、というところだ。実現するかどうかは別として、構想がふくらんでくるのは結構なことだ。
今回の新規ページはミステリ時評。
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