近況1999年
来年度から某大学において講座を持たせていただくことになってしまった。まだまだ「我が事、終えたり」というわけにはいかない。途上である。何を教えるのかというと、やはりミステリの書き方&読み方になるのだろう。講義要項を提出する締め切りが迫っているので、うなされるような毎日だ。
「大学解体」の時代を生きた世代として、様々な想いは交差するが、今、アカデミズムの一角にミステリが位置を要求することは、基本的には望ましいことだと思う。しかしまさかそこに、自分がドボンととびこむ羽目になろうとは……。ゴダール映画の人物ではないが、「セ・ラ・ヴィ」と言っておく他ないだろうか。
その前に履歴書を出さなければいけなくて焦った。学歴が乏しい上に、職歴だけは自分でも覚えていないほど、やたらと何の役にも立たないくらいに多かったからだ。現在の職業は自営業であるが、無職渡世と勘違いする人が多いので困る。無職という職業を営んでいた期間もあることはあるが、一応は常に変わらず何らかの労働現場に席を置いていた。
と思えば、かんたんではないか。今度新しく職業歴に、大学講師という項目が増えるだけのことだ。そうはいっても……。講義要項がなかなか書けない。タイム・リミットは迫ってくる……。
日本推理作家協会会報1999.1
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