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第45回日本推理作家協会賞

第45回日本推理作家協会賞

 みなさん若いですね。綾辻さんが「クイズ・ヘキサゴン」に出演するというウワサを耳にしましたが、ほんとに出ていました。

 1992年、受賞者三人。綾辻行人、宮部みゆき、各氏と私。授賞式を待っているところだが、このパーティでは会場来場者はすでにグラス片手。待機させられているのはぼくらだけだった。この日は、なるべく人の顔を見ないですむように、いちばん暗黒度の濃いサングラスを着用して固まっていた。なにか全身が「早く飲みてぇーよ」と言っているようだ。

 このとき、わたしは45歳で「名誉ある賞の節目となる第45回の指名されまして……」などとえらく行儀のいい挨拶をする心積もりをしていたわけだ。節目というのは、まるで根拠なく、自己都合のとんでもない言い分。
 ところが隣のお二人は、同年同月同日生まれ。「どちらのほうが数時間、年長である」などという話題でキャッキャッとさかんに盛り上がっていた。当然ながら、わたしよりもかなりお若い。その話題が耳に入ってきたので、当方としては「わたしは45歳で……」なんて始まるつまらない挨拶はとてもできたもんじゃないなと気づいた。こりゃアドリブの挨拶で行くっきゃないかと焦りだした瞬間のショットでもあるようだ。

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